The ドリアン (8月2日の晩餐より転載・追記)
とうとう食べた。トゥリアン(ドリアン)。今ままではそのあまりにも強烈な香りに、私の鼻腔はくすぐられすぎてしまい(嘘)、なかなか購入する勇気が湧かなかった。タイは世界一のトゥリアン産出国。タイではこれを「果物の王様」とも呼んでいる。名前はマレー語の「トゲが集まっている」という意味があるらしく、旬は4月から8月。年中夏のようなタイではあるが、食べ物には当然季節感がある。8月に入り、「そろそろ年貢の納め時」気分になり「切腹覚悟」で購入した(大袈裟)。ちなみにトゥリアンは観光客向けに特別栽培したものも一部で販売しているので年中購入は一応可能。
トゥリアンにはタイ人ですら凄まじいまでの嫌悪感を抱く人がかなり存在しており、好き嫌いは意外なほどにはっきりと別れている。ある本にこの匂いを形容した言葉が載っていた。「石油に漬けた発酵食のような香りを放ち、ブルーチーズを干したような、カスタードとブランデーを混ぜたような感じ」。トゥリアンは皮を剥いてしまうと長期保存に適さないので、道端では基本的に皮付きの1個単位で販売しいてる。この1個の中には、房状にトゥリアンの実が入っていてだいたい1個につき5〜6房。今回私は1房だけ欲しかった。ある店でそう注文をするとアッサリと断られてしまった。別の店でたまたま房で売っていた所があり、鮮度がいい事を確認して購入する事が出来た。しっかりとラッピングされていたもののかなりの「その匂い」は漏れていた。
この「王様」トゥリアンには別名がある。「悪魔が潜む果物」。その形からもそう形容されているのであろうが、このトゥリアンは別の意味で本当に凄い悪魔がいる。何が凄いと言うと、その匂いもそうではあるが、なんと、時に食べただけで人を殺める能力を持っているのである。果肉には硫黄分が含まれていて、アルコールと一緒に摂取すると、体の中で異常発酵して死ぬこともある。嘘のような本当の話で、今年5月にもバンコクのある所でビールと共にトゥリアンを食べた50代女性が翌日死亡する事件が実際に発生した。高血圧、糖尿病の人は特に要注意だそうだ。鰻と梅干の比ではない、史上最悪の食い合わせである。
トゥリアンには主に3種類あり、「モントーン」種・「ガーンヤーオ」種・「チャニー」種。中でもモントーン(「金の枕」の意味)は1番人気がある。普通、道端で売っているのはこのモーントーンであることが多いようだ。私も今日は入門編とも言えるこのモントーンを食べてみる事にした。匂いは確かにスゴイものの、口に含んでみると非常にクリーミー。とても果物とは思えない食感に驚いた。私は正直、結構美味しく感じた(感じてしまった)。カロリーが高い事でも有名であるが、資料を見てみると100g当たり124Kcalとの記載。実は、驚くほど高いものではない。ただやはり、食べすぎには注意が必要…