“人も歩けば犬にあたる 2” | トップへ戻る |
一度でもバンコクに来られた方はご存知のことと思うが、
市内の道端、道路、歩道橋と場所を問わず、無数の野良犬がだらしなく“だら〜っ”と寝そべっている。
35℃(路面温度はそれ以上であろう)という猛暑の中、
「あぢーよーっ」と訴えかけてくるような目をして寝転んでいるのである。
'03年10月、APECバンコク会議開催に際して、このままではバンコクのイメージ
ダウンだと会議場周辺や各国首脳滞在先のホテル周辺だけではなく、
市中一帯を対象に政府・軍・警察をあげっての大掛かりな野良犬捕獲作戦が展開された。
しかも、野良犬一匹あたり20バーツ(≒60円弱)という捕獲手当てを出したところが
いかにもタイ政府らしい出来事であった。
「生き物は大切に」というのがタイ人。野良犬にも「可愛そうに…」と餌をあげ、
徳を積もうとするタイ仏教の大きな考え方が根本にある。
]ちなみに、タイ人は何か悪い事が起こると「徳を積んでいなかったからだ」と考え、
すぐにお寺に赴き、僧に対してお布施や寄進をし、徳を積む人が多い。
また、日ごろから徳を積んでいれば心が豊かになり、
悪い事も起きないといのがタイの宗教(=小乗仏教)である。
さて、バンコクの野良犬に話は戻るが、APECバンコク会議から約2ヶ月たち状況は再び元に戻りつつある。
やはり焼け石に水であった。
ごく一部の地域だけ徹底的に捕獲しても、そりゃ抜本的な解決にはならない。無理な話である。
この野良犬達が一番多く出没している場所はやはり屋台周辺。
日中はその暑さからか、だらけている犬達であるが、陽が落ち、
屋台がもっと数多く営業を始める時間帯になるとやたら行動的になる。
どこの屋台街にも必ず犬がうろついている。この犬達、何も盗み食いしなくても
勝手に人間が食事をくれることをしっかり学習しているらしく、おそろしく行儀が良い。
こちらが何もしない限り襲ってくる可能性は限り無くゼロに近いのである。
こんな事情なのでタイの人達もこれらの野良犬達に対してさほど警戒をしていない。
私も今でこそ、そこら辺をうろつく野良犬君達にはもう慣れてしまったが、
バンコクに住み始めた直後は怖くて仕方なかった。
狂犬病の予防なんてしている気配はゼロだし、
どれだけタイ人は狂犬病に対しての知識があるのかも知れない、などと疑っていた。
もし噛まれたらどうしよう…といつも戦々恐々としていた。
確かに時とともに慣れてしまったが、バンコクの街中を歩く時、下を向いて歩く癖がついてしまった。
未だ穴ぼこだらけの未舗装の歩道のせいもあるが、…ヤッパリ怖い。
いたるところで寝転んでいる野良犬君たちを踏みつけないようにギリギリで
避けながら歩く最後の手段なのである。もし、踏んでしまったら・・・。
その後どうなるか、は想像に難くない。